ここまで、冥王星がサインを移動するときに何が均されるのか、その対象はどこから現れるのかを考えてきました。
破壊されるものを予測する
木星と土星の合からの前史考察
水瓶座の現在地
その過程で、グレートコンジャンクションと冥王星イングレスには、ひとつの流れがあるのではないかという仮説が生まれました。
グレートコンジャンクションで、その後の社会に広がるテーマが置かれる。
そのテーマを抱えたまま冥王星が次のサインへ入り、それまでの条件では維持できないものが現れる。
そして、さらに次のグレートコンジャンクションで、社会の重心が別のテーマへ移っていく。
つまり、
GC1 → 冥王星イングレス → GC2
という三点をつなげて見る方法です。
次のグレートコンジャンクションで、前のテーマが消えるわけではありません。
ただ、長い時間をあとから振り返ったとき、冥王星期で問題化する過程を経て、社会が次に何を中心として動こうとしたのかが見えてきます。
もしこの流れが過去にも確認できるなら、現在の水瓶座期から、その先へ続く時間も同じ方法で読めるかもしれません。
まずは、過去の二つの時代で確かめてみます。
過去の検証
最初に見るのは、1961年の山羊座グレートコンジャンクションから、1981年の天秤座グレートコンジャンクションまでです。
1961年|山羊座GC
国家、制度、管理、経済成長といったものが、その後の社会を動かす中心的なテーマとして前景化しました。国家主導の開発や国際的な制度整備が進み、社会を大きな仕組みによって動かす流れが広がります。
1972年|冥王星天秤座入り
その制度だけでは処理できない外交、権利、平等、利害調整の問題が、避けて通れないものになっていきます。
1981年|天秤座GC
市場、契約、取引、交渉によって関係を調整することが、次の社会の中心へ移っていきました。制度によって社会を動かすところから、その制度の中にいる者同士の関係をどう調整するかへ。
これが一つ目の流れです。
次に見るのは、1981年の天秤座グレートコンジャンクションから、2000年の牡牛座グレートコンジャンクションまでです。
1981年|天秤座GC
市場、契約、取引、規制緩和といった関係の作り方が、その後の社会を動かす中心的なテーマとして広がりました。
1984年|冥王星蠍座入り
その取引関係の内側にある負債、金融、依存、共有資源、権力の問題が、避けて通れないものになっていきます。
2000年|牡牛座GC
所有、資産、住宅、生活基盤へ、社会の重心が移っていきました。契約によって関係を作るところから、その関係の中で誰が何を所有し、何を基盤として生きるのかへ。
二つ目は、そうした流れとして見ることができます。
二つを並べると、GC1で、その後に広がるテーマが置かれる。冥王星イングレスで、そのテーマを従来の条件では扱えない部分が問題になる。GC2で、社会の重心が次のテーマへ移っていく。という三点の流れが見えてきます。
分断の先にあるもの
では、同じ読み方を現在から未来へ延ばしてみます。
2020年|水瓶座GC
第3弾では、水瓶座を未来や最新技術のサインとしてではなく、人間を集団の一員として捉え、共通の規則によって扱う構造として読み直しました。
2020年以降、人種、国籍、性別、思想、世代など、人間がどの集団に属しているのかが強く意識されるようになりました。
それによって、差別や格差を個人の問題ではなく、社会構造の問題として捉える視点が広がります。
その一方で、目の前の人を一人の人間として見る前に、所属する集団の代表として捉える動きも強まっていきました。
2024年|冥王星水瓶座入り
人間を集団に分け、それぞれに共通の規則を適用する仕組みは、次第に現実と噛み合わなくなっていきます。
人は国境を越えて暮らし、複数の文化や共同体に属し、一つの属性だけでは捉えられません。
それでも社会は、誰を内側に置き、誰を外側に置くのかを決めなければ動きません。
境界が揺らぐほど、国籍、民族、性別、伝統などを以前より強く固定し直そうとする動きも現れます。
水瓶座期に均されるのは、人間を正しく分類し、それぞれに共通の規則を適用すれば、社会を公平に維持できるという前提なのだと考えています。
2040年|天秤座GC
その水瓶座期の中で、次のグレートコンジャンクションは天秤座で起こります。
ここで社会の重心は、あなたはどの集団に属しているのかから、違うあなたと私は、どのような条件なら関係を結べるのかへ移っていくのではないでしょうか。
同じ思想になることでも、違いをなくすことでもありません。
契約、交渉、権利、責任、妥協。
異なるまま関係を持つための方法を作ることが、次の社会の中心へ置かれる。
2020年から2040年までの流れは、人間を集団として扱う → その分類による分断が限界に達する → 異なる者同士が関係を結ぶ方法を作るという形で読むことができます。
文明をつないできたもの
契約や交渉は、それだけでは成り立ちません。
約束には意味がある。権利は守られるべきものだ。異なる立場であっても、最低限共有できるルールがある。
そうした共通の前提があって、初めて関係を結ぶことができます。
そのわずか4年後、冥王星は魚座へ入ります。
現代占星術では、魚座は境界が溶ける、共感する、すべてが一つになるといった言葉で語られることがあります。
けれど古典の魚座を見ると、木星が支配し、金星が高揚し、水星が力を失う場所です。
異なるものを大きな枠の中へ含む力が強く、その一方で、細かく分け、明示し、正確に伝える力は弱くなる。
ここから冥王星魚座を考えると、均されるのは、違う者同士でも、根底では何かを共有しているという前提そのものなのかもしれません。
人権。国際法。普遍的な倫理。
人間である以上、最低限ここまでは共有できると思っていたもの。それが、実は共有されていなかったと分かる。
2040年に関係を作ろうとした社会は、2044年には、その関係を支えていた土台そのものを問われることになります。
ここで、もう一つ考えていることがあります。
社会の共通基盤が崩れるということは、制度や価値観が変わるだけで終わるとは限りません。
ある時代には確かに存在していた技術や知識が、そのまま次の時代へ受け継がれないことがあります。
アンティキティラ機構のように、当時すでに高度な技術が存在していたことは分かっていても、その技術が同じ形で連続して発展したわけではないもの。
あるいは、古代の巨大建造物のように、残されたものから当時の技術や社会の仕組みを完全には再現できないもの。
冥王星魚座期には、これと似た「消失点」が生まれる可能性もあるのではないかと考えています。
いまなら誰でも読める取扱説明書が残っていても、その前提となる言葉や技術体系、社会の共通認識が失われれば、後の時代には意味を読み取れない。
物そのものが消えるのではなく、それを理解し、再現し、次へ渡すための共通の土台が失われる。
そんな形で、文明の一部が途切れることもあるのかもしれません。
もしそうなら、2044年の冥王星魚座は、単に価値観が変わる時期というより、それまで共有されていた世界の前提が一度そこで切れる地点として現れる可能性があります。
冥王星に均されようが
今回のシリーズでは、冥王星から未来を読む方法を考えてきました。
その過程で見えてきたのは、冥王星だけを見てもその先に何が生まれるのかまでは分からないということでした。
冥王星が示すのは、何が、もう維持できないのか。
グレートコンジャンクションが示すのは、その時代に、何が次の中心として育っていくのか。
GCで置かれたテーマが広がり、その途中で冥王星によって維持できないものが現れ、次のGCで社会の重心が動いていく。
この三つの地点をつなげて見ることで、冥王星の破壊を一つの出来事としてではなく、もっと長い時間の流れの中で読むことができます。
そして2044年。
そこで何が失われるのかまでは、今回の方法から考えることができます。
その先に、人間が何を育てるのか。
それは、また次の周期を観測するときの問いになります。